「見えていない」のでは、当然困ることが多い
今回は「視機能」についてのお話です。
「目がいい」と言われると、多くの方は「視力が良い(遠くのものまで正確に見える)」という解釈をされるのではないかと思います。
しかし、実は「視力」というのは「視機能」の一部に過ぎない、という考え方があります。
「視機能」とは、「視力(遠くのものまで正確に見る力)」以外にも
・ピント調節機能(対象物にピントを合わせる機能)
・周辺視野確保機能(注目しているもの以外の視野にあるものを認識する機能)
・イメージ機能(見たものを脳内で映像化する機能)
・運動感覚機能(眼で見たものと身体の動きを調整する機能)
等があります。
例えば周辺視野確保機能に不器用さのある場合、何かに注目している際に周囲に危険があっても気づきにくい、ということが起こり得ます。つまり、「視機能」の一部に不器用さがある場合は、何らかの困り感が出てくることになります。
学習の困り感にも直結
学習面で言うと、黒板に書かれたことをノートに書き写すのが苦手な方がいらっしゃいます。
これは、ピント調整機能に不器用さがあり、単純に視力の面から考えると十分見えているはずのところ、まず黒板の文字にピントを合わせ、文字を認識し、次に手元にあるノートにピントを合わせる、という距離の違うものにピントを合わせ直すという、本人にとってはかなり難しいことをしているため、なかなかうまくいかないということになっている可能性があります(他の可能性としてワーキングメモリの低さや文字を認識すること自体の困難さがある場合などが考えられます)。
板書を書き写すのに時間がかかると、それ自体がストレスになりますし、それに取り組んでいる間に授業が進んでしまい、授業内容の理解にも支障が出る場合が多いと思います。それを繰り返すことで、勉強自体に苦手意識を持ち、勉強が嫌いになっていくという結果になる場合が多いのではないでしょうか。
最近の研究によると、情報の87%が視覚から得ているということのようです。
その、主な情報取得機能である視覚の機能に不器用さがある場合は、学習面にも困難が生じるのは当然であると思います。
ビジョントレーニング
眼球の周りには筋肉があり、その筋肉が眼球を動かしています。身体と同じように、この筋肉を器用に動かせるようになるためには訓練(トレーニング)が必要です。
スマートフォンやタブレットなどが普及する前の時代は、外遊び(鬼ごっこやボールを使ったスポーツ)など、瞬時に対象を捉えたりボールや体の動きを見て、その先を予測しないといけない場面が遊びの中で発生し、それによって幼少期から自然に視機能を鍛える機会が遊びの中でたくさんありました。しかし、現代において幼少期から同じ画面を見続けたため、視機能が発達していないケースが増えているようです。当然、生まれ持った得意・不得意はありますので、これがすべての原因というわけではないと思いますが、それも原因の一つであると考えられると思います。
視機能に不器用さがある場合は、様々な場面で困り感がある場合が多いため、それを改善するために視機能の訓練するのが「ビジョントレーニング」です。
「ビジョントレーニング」については、たくさんインターネット上で紹介されているサイトがありますので、今後、こども教室エール・エール西教室で必要な範囲で実施し、それについて皆様にお伝えできることがあれば投稿したいと考えております。
もし、視機能についてご自身やご家族様に思い当たることがありましたら、ご相談ください。当教室はビジョントレーニングに特化しているわけではありませんが、ご相談をくださることで、何かお役に立てることがあるかもしれません。当教室を御利用くださっている方はもちろん、御利用されていない方でも無料でご相談をお受けしております。
また、今回参考にさせて頂いた本の中に「1日5分!親子で楽しみながらできる 発達障害の子どもを伸ばす ビジョントレーニング」という書籍があります。とても分かりやすく、また、実践的なワークの方法の紹介もされています。気になる方はぜひ読んでみてください。