適切な課題設定の重要性

体育の学習指導要領

皆様、最近は流行り病のせいで自由をかなり制限されており、なかなかストレスフルな状態ですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回のテーマは「適切な課題設定」です。

・・・とその前に、皆様は小学校の体育の指導要領をご存じでしょうか。

現在(平成29年の7月に公示)の学習指導要領の体育の目標として

(前略)生涯にわたって心身の健康を保持 増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を(中略)育成す ること

と明記されています。

私は、障害者スポーツ指導員という立場での活動もしているため、このようなことには非常に関心を持っておりますが、現在の学校教育の基礎をなす「学習指導要領」にこのようなことが記されていることは、非常に意義深いものであると考えます。

小学校の体育は、当然ながら、アスリートを育てる場でもなければ、運動が苦手な児童を運動嫌いにさせる場でもありません。

今後の長い人生にわたって健康的に生きるため、運動に親しむ基礎を作るところ

なんです!!!

レクレーション性 > 競技性

つまり、小学校の体育では、競技性を重視して得意を伸ばすことよりもレクレーション性を重視して、まず、全員が運動に親しむことを大切にするべきであると思います。

楽しいことは、みんなやりたいと思うはず。確かに競技性を重視すればするほど、上手な児童や慣れている児童は楽しさが増すと思います。しかし、一方で苦手な児童や慣れていない児童は、楽しさを感じるどころか、むしろストレスになってしまうように思います。

もし、得意なスポーツがあって、その能力を伸ばしたいという意向があれば、そういう方はクラブチームに入って活動の場を広げるという方法はあるのですが、運動が苦手な児童は、まず運動の入り口である小学校における体育の時間で、運動に慣れ親しみ、そして運動は楽しい、というイメージを持つことが、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するために必要ではないかと考えます。

課題の設定について

そこでポイントとなるのが、課題の設定です。いきなり小学1年生にアーチェリーをさせるのは、誰でも「それはちょっと難しいのでは・・・」と思うのではないでしょうか。

学習指導要領では、低学年・中学年・高学年に分けて、さらに、分野別にそれぞれカリキュラムが設定されています。前回のブログ「バルシューレ2」で紹介した「スキャモンの発育曲線」を踏まえた内容になっており、素晴らしい内容であると思います。

とは言うものの、よく考えられた学習指導要領でも、やはりそれをしっかりと理解して実施されなければ、現在問題となっている「体力の低下」や「運動嫌いの増加」は解決できません。結果、将来的に健康を損なう可能性のある方が多いという状態を生んでしまいます。

発達障害をはじめとする「障害」のある方は、得意・不得意の凸凹が大きいため、運動以外のところでも、年齢にとらわれずに、その個人に応じた課題の設定が大切になってきます。課題が難しすぎたり多すぎたりすれば、意欲がなくなりますし、やってみて失敗ばかりですと、そのことが嫌いになってしまいやすくなると思います。まさに、ストレスを感じながら取り組まなければならなくなってしまうという事態です。

適切な課題の設定をするためには、その個人をよく知り、そして、その児童がやりやすい方法で実施することが効果的であると考えます。

こどもたちひとりひとりに対して、適切な課題を設定する。課題のレベル、量、質、実施方法等を研究して、当教室では効果的な課題を追求していこうと考えております。

ぜひ、ご家庭でも、この考え方を参考にしてお子様と関わってみてください。