精神科医が教える「毎日を楽しめる人の考え方」
~樺沢紫苑 著~
長かったようで短かった夏休みも終わろうとしておりますが、皆さんどんな夏を過ごされましたか?コロナ禍の社会生活ではありますが、去年や一昨年を思えば少し活動しやすく感じた方も多いのではないでしょうか。私も子ども達から「お祭りに行ったよ!」「お泊りをして、大きいプールに入ったよ!」など、沢山のお土産話を聞かせてもらいました。
今回ご紹介したい図書は、SNSで話題の一冊です。著者は精神科医で、映画評論家でカレーのブロガーやYouTuberなど、多彩な顔をお持ちの方です。こんなに多彩な顔を持つ樺沢さんは、「人の3倍働き、2倍遊ぶ」が人生のスローガンだそうです。私は、そんなに欲張りをしても大丈夫なの?と思いましたが、この本ではそんな不安も吹き飛ばしてくれる、目からウロコの内容がいっぱい詰まっています。そんな一冊から少しですが、ご紹介いたします。
―日本人と欧米人「仕事の認識」はこんなに違う―
そもそも欧米人に多いキリスト教徒にとっては、仕事は「罰」なんだそうです。それに反して、日本では昔から様々な神すら「仕事」をしていたそうです。私たち日本人にとって「仕事」、つまり「労働」は神聖なものであるという、そもそもの認識に違いがありました。それから時代は流れ、戦前戦後に「貯蓄推奨」など行われ、今の時代にもまだその風潮が根強く残っているのではないかと綴られています。
だからこそ日本人は「仕事ファースト」になりがちで、真面目すぎる日本人はそんな毎日から精神疾患や自殺に追い込まれる人も少なくはありません。そんな日本人にこそ「仕事ファースト」から「遊びファースト」にシフトチェンジしていこうというのが本書の狙いです。
―楽しめる人が成功する脳科学的な理由―
仕事がうまくいっている人を想像してみてください。歯を食いしばって余裕がなく仕事をしているのではなく、仕事が終わればさっさと退社しプライベートを楽しみ、何だか余裕すら感じられるのではないでしょうか?
それは「楽しむ人が成功している」と言えるのではないでしょうか。
人は「楽しい」とドーパミン(幸福物質とも呼ばれる。)が分泌されポジティブな感情に包まれます。例えばそれは、大きな目標を達成したなどの大きな事に限らず、小さな目標達成でも分泌されるそうです。そして、ドーパミンは脳にとってご褒美で「報酬」となり、またその報酬を得たいと思い「次も頑張ろう!」「もっと頑張ろう!」とモチベーションになります。更に、ドーパミンが分泌されると、脳が活性化され集中力や記憶力がアップし、学習効率も高まります。
つまり、「楽しい」「うれしい」などの感情はドーパミンの分泌に直結しており、そのドーパミンは記憶増強物質であり、学習物質であり、モチベーション物質だと本書では言っています。
これは私にも身に覚えがあります。子ども達は私が到底覚えることが出来ない難しそうなポケモンの名前を、いとも簡単に覚えてきます。それはポケモンが好きで、ポケモンを見ているだけで「楽しい」のドーパミンが分泌され記憶力がUPし、結果すごい数のポケモンの名前を覚えられているのだなと納得しました。これを学習にも応用し、楽しい学習の時間を提供出来れば…とは思いますが、学習に楽しいを結びつける事は、至難の業ではあります。しかし、一番に学ぶ楽しさを忘れず、子ども達と一緒に勉強していきたいと思います。
ー人生のメインを「仕事」から「遊び」へー
「仕事」を頑張ることは素晴らしいですが、人生のメインは「遊ぶ」こと、あくまでも「仕事」はサブと本書では締めくくられています。どんなに忙しくても、「仕事」以外の時間は自分がコントロールできる、自分が全権を掌握する「王様」です。一日のたった15分でも「真に楽しい時間」がとれれば、幸福度は数パーセントかもしれませんがUPします。それが1週間、1ヶ月、1年、10年、50年と続けば「毎日、楽しい人生だった」、「幸せな人生だった」に繋がります。
今回本書を読んで、「仕事」や自分の思い通りにならない事があったとしても、自分の「楽しい」を忘れずに生きていくことが、結果すべての事柄に前向きな影響を与えることになっていくのではないか、と感じました。最後に、気を付けて頂きたいポイントは「睡眠不足」になるような「楽しい」は、「真の楽しい」には繋がらないと樺沢さんが言われています。その理由も本書には詳しく書いてありますので、また読んでみてくださいね。
皆さん「遊びファースト」で、人生楽しくしちゃいましょう!(笑)
また、次回以降も前向きになれるような本を、こちらで紹介していけたらと思います。