原因の特定が第一
数年前までは、全般的な知的分野における発達の遅れである「知的障害」は、発達障害とは分けて考えられていましたが、現在では、知的分野の発達の遅れも、発達障害の一つの類型であるという考え方をするようになってきています。
小学校に入学して、学習面でのつまずきがあれば、「知的障害?学習障害?」と疑われる場合がありますが、学習面での困りごとの原因は多岐に渡ります。
例えば、視力の低下や眼球運動の不器用さにより、文字を認識しにくい場合、また、読んだものを覚えていることが苦手であるというワーキングメモリの低さによる場合など。そもそも文字が見えにくい状態で、授業がどんどん進んでいくと、話についていけなくなり、理解ができない場合があります。また、ワーキングメモリが低く、聞いたときや見たときは覚えていても、すぐにその内容を忘れてしまうという場合も、授業の内容が全体として理解できないことも考えられます。また、視覚過敏によって、教室が明るいという環境が、本人にとっては教室が明るすぎて全く落ち着くことができず、授業に集中できないという場合も考えられます。
それぞれのお子さんによって、得意なこと、苦手なことが違いますので、表面化している結果だけを見てアプローチしていくと、そのアプローチの方法は必ずしも効果的であるとは言えなくなります。
原因の特定には、お子様の様子をよく観察する必要が出てきます。発達検査を受けると、うまくいかないことの原因が明確になる場合が多いので、専門家に検査をしてもらうというのはかなり有効であると思います。
原因がどこにあるかの仮説を立てる
例えば、ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如他動症)のお子さんは、一点を集中して見つめるという、眼球の固定が苦手な場合が多いようです。また、DCD(発達性協調運動障害)のお子さんも、眼球運動の不器用さが見られる場合が多いようです。
文字の読み書きが苦手な場合でも、文字の認識自体が苦手な学習障害が原因であるのか、文字の認識はできるが、きちんと注視できていないために認識に時間がかかるのか。運動が苦手な場合も、身体機能に原因があるのか、眼球運動に原因があるのか。結果だけを見ると同じに見えても、それぞれのお子様で困っているところ、苦手なことが違います。
眼球運動について
意外と多いのが、上にも書きましたが、「眼球運動」に原因がある場合。視覚がある場合は、情報の80~90パーセントは視覚から入ってきます。その情報が不確かな状況では、運動も学習もやりづらいのは当然ともいえます。
眼球運動の不器用さを払しょくするための「ビジョントレーニング」というプログラムがあります。眼球運動には「追従的眼球運動」と「跳躍的眼球運動」があります。
追従的眼球運動のトレーニングは、このような課題を使用します。これは、左上から順番に平仮名を読んでいきます。これにより、目線の動きの向上の図ります。
跳躍的眼球運動のトレーニングは、1から順番に数字を見つける課題を通して、眼球の動きと視点の安定を図ります。
こども教室エールでは、眼球運動の不器用さが見られるお子様に対しては、このような教材を使用し、ビジョントレーニングを行っていきます。また、ご家庭でも簡単に行っていただけますので、ご希望があれば、その方法を保護者の方にお伝えして、ご家族で楽しみながらトレーニングしていただくことも考えております。
ご興味のある方はぜひお申し出ください。
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