自己肯定感・自信・自尊心

今回のテーマは、皆さんもよく聞かれるであろう「自己肯定感」・「自信」・「自尊心」についてお話しします。

これらの言葉の意味の違いを理解することで、人間理解がしやすくなると思います。

「自己肯定感」

「自己肯定感」とは、「対人関係において、ありのままの自分が他者から受け入れられる存在であるという感覚」という意味で使われているようです。「ありのままの自分を肯定できる感覚」という、そのままの意味ですね。

この自己肯定感は、「持っている」か「持っていない」の二択であると思います。

ありのままの自分が他者から受け入れられる存在である、と思っている場合は「自己肯定感を持っている」ということになります。

自己肯定感を持っていなければ、ありのままの自分では他者から受け入れられないという不安を持っているため、他者を意識しているときは「本当の自分よりもよく見せないといけない」「本当の自分を見せてはいけない・バレてはいけない」と常に緊張状態になってしまいます。

自己肯定感を持っているか否かで、かなり行動やその人が持つ世界観が変わってきます。

「自信」

「自信」とは、「個別具体的な場面において、自分を信じることができる感覚」のことで、これも、「ある」か「ない」かの二択です。

「この相手にはこの競技で勝てる自信がある」「同じ競技でも、その相手には勝てる自信がない」など、具体的な場面において変わってきます。

「自尊心」

「自尊心」とは、ここでは「全般的な自信についての自己イメージ」ということとします(違う解釈や意味でつかわれることもあるため)。

「自分は何をやってもうまくできる」と思っている状態は、自尊心が「かなり高い」状態。「たいていのことはうまくやれる」というのは自尊心が「高い」状態。「うまくできることは少なく、基本的には何をやってもうまくいかない」のは「低い」状態。「何をやってもうまくできない」のは「かなり低い」状態。というように自尊心には「程度」があります。

「自己肯定感」を持たせるためには

ありのままの自分は他者から受け入れられる存在である、という自己イメージを持たせるためにはどうすればよいのでしょうか。

これは、主に対人関係から作られたイメージなので、周囲の人間が「ありのままのその人を認め、受け入れる」ということが必要です。

自己肯定感を持っているかどうかは、相手をよく観察するとわかると思います。

自分の大切な人が、自己肯定感を持っていないな、と気づいたら、まずはありのままの相手を認め、受け入れるようにしてください。

以前に「甘やかしていいの?」という投稿をした際にも書きましたが、「〜してくれるから、大切です。」とか、「あなたはこういう人だから受け入れる」などというように、条件付きの愛は自己肯定感を低下させます。なぜなら、「〜でないとあなたを愛することはできない」というメッセージが伝わるからです。

「あなたがどんな人でも、何もしなくても、あなたがいてくれるだけで私は幸せです」というメッセージを全身で伝えるようにしましょう。このメッセージをそのまま言葉にして相手に素直に言ってもいいと思います。

「自尊心」を向上させるためには

「自尊心」は他者にも影響を受けますが、それよりも自分が自分のことをどう思っているのかということが重要です。

なので、自尊心の向上には「成功体験」が必要です。

「レディネス」という言葉があります。これは、「その課題を成功させるための準備」という意味ですが、相手に備わっているレディネスを正確に把握することで、課題の設定を適切にできます。

成功体験を積み重ねるには、対象者に設定する課題を適切に設定できるかどうかが重要です。そうして、成功体験を積み重ねることで、自尊心が向上します。

児童指導員として

施設職員として勤務していると、他者に迷惑を掛けるようなことや、相手を困らせるような不適切な言動を見ることがあります。

こういうことが続くと、その子に対して「困った子」「悪い子」という捉え方をしてしまいがちだと思いますが、このようなスタンスで相手と関わると、相手の自尊心は低下し、自己肯定感を付与するような働きかけをすることはできません。

困った行動や悪い行動には、必ず理由があります。それを見極めて、無条件の愛を持ち、そのお子さんの状態を正確に理解した上で関わることで、子どもたちの精神的な成長を促すことができるのだと考えています。