書籍紹介「学校の『当たり前』をやめた。」

今回は「学校の『当たり前』をやめた。生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革」の紹介です。

突然ですが、皆様は子育てに目的をお持ちでしょうか。

私はこの本を読み、目的意識を持つことが行動を変えるということを学ばせていただきました。

著者の 工藤勇一さん は教師であり、中学校の校長になられた際に「宿題」「定期テスト」「固定担任制」など、これまで学校で「当たり前」であるとされていたことに疑問を持ち、子どもたちにとって本当に有効な教育を考え、不要なものや不適切なものを廃止されました。工藤さんのおられた中学校は宿題や定期テストは一切ないようです。また、クラス担任もなく、学年全体を複数の教員で役割分担をしながら担当する「全員担任制」にされているようです。

その他にも慣習的に継続されていた不適切な規則や方針をたくさん見直されています。

「世の中ってまんざらでもない!大人って結構素敵だ!」

この言葉は工藤さんが中学生(子どもたち)に最も伝えたいメッセージであると思います。

確かにこのように思って生きることができれば、将来に希望を持って自分が大人になることを楽しみに生きることができそうですね。

このメッセージを子どもたちに伝えることを最上位の目的として、その目的を達成するためにより適切な教育とは何かを日々考えられていたからこそ、様々な改革を進められたのだと思います。

子育ての目的を考える。

さて、冒頭にも書きましたが、皆様は子育てに目的をお持ちでしょうか。

この本は、子どもたちに本当に大切な力を身につけさせるためには、これまで慣習的に行われていたことを見直す必要があり、適切な教育を行うことで社会は良い方向に変わっていく、ということを学校関係者や子育て世代の保護者に対して知ってもらうために書かれたのだと思います。

そして、大人として責任ある行動をとるべきであるということを私たちに突き付けられています。

子育ては親だけの責任ではないと思います。しかし、子どもに大きな影響を与える保護者や教員は、ただ漫然と子どもたちと関わるのではなく、教育や子育ての目的を明確にして、その達成のためにできるだけ適切な手段をとるべきであるということです。

私も、子育ての目的を考えさせられました。

教室に来てくださる児童の皆様には、自分や他者の個性を認め尊重でき、成人期にはそれぞれの方法で自立をしてほしいという願いを持っています。

しかし、自分のこどもについてはぼんやりとしか考えていませんでした。

目的は明確にしなければならないと思い、考えた結果、今のところは「個性を大切にして楽しい人生を過ごしてほしい」と思っています。自分自身をよく知り、それぞれが満足するように人生を楽しんでくれればそれでよいのかなと思います。

そう考えると、まずは私自身が自分の個性について理解を深め、楽しく過ごしている姿を子どもたちに見せることが有効ではないか、という手段が自然と思いつきました。

手段が目的化していることは、この本に書かれているように学校現場だけで起こっている現象ではないと思います。

現代を生きる大人が、その活動の目的を明確にし、責任を持って行動できるようになれば、明るい社会が待っているのであろうと思います。

皆様の子育てについて考えるきっかけにしていただけると幸いです。