書籍紹介「「見守る」子育て」

今回は、書籍 「「見守る」子育て」 を紹介いたします。

子育てをしていて、つい注意ばかりしてしまう。子どもの将来のことを考えて不安になり、将来に役立ちそうなことを押し付けてしまう。

このようなことをしてしまっていると自覚のある方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

お子様の将来を考えることは、悪いことだとは考えておりません。しかし、将来に直結しないからといって、お子様が興味を持って楽しんで取り組んでいることを中止させることは、お子様の自主性や自分軸の育ちを邪魔してしまうことになりかねません。

子どもの心理についての理解を深め、お子様が伸び伸びと自分らしく成長していけるような関り方のスタンスについて、わかりやすく書かれている書籍です。ぜひ、興味を持って読んでいただきたいです。

『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』  小川大介著 株式会社KADOKAWA

「自分軸」を持っている人は、自分の強みを社会で発揮できる!!

筆者は、この本での「頭が良い」ということを、「自分ならではの強みを社会で発揮できること」と説明しています。

少し前までの日本では、「頭が良い」というのは、「みんなができることをみんな以上にできること」でありました。しかし、AIをはじめとする様々な分野の技術が進歩し、「みんなができることのほとんどはAIのほうが早く正確にできる」ようになったため、AIができることは人間の能力として重要視されなくなりつつあり、これは今後さらに加速するはずです。

これからは、自分ならではの強みを社会で発揮し、活躍する時代になっていくようです。

そこで大切になるのが「自分軸=経験や価値観に基づいた判断基準」だと述べられています。この自分軸は、誰かから「ああしなさい。こうしなさい。」と言われ続けてきた人は、育っていなことが多いです。なぜなら、自分の判断基準だからです。言い換えると、ある程度放っておかないと「自分軸」は育たないのです。

3原則 + 1

「認める」

「見守る」

「待つ」

+ 「期待する」

自分軸を育み、自分ならではの強みを社会で発揮する人を育てる原則として、この3原則+1が挙げられています。

「認める」

これを言い換えると「否定しない」ということです。

特に意識することは「ありのままの子どもの存在をそのまま認める」ということです。このブログでも再三記している「無条件の愛」ということと近いと思います。

さらに、著者は能力は「いびつ」なほうが良いと記しています。これはどういうことかというと、得意なことと不得意なこと、好きなことと嫌いなことがはっきりしている方が、得意なことを伸ばしやすいということです。

お子様が興味を持っていることを認め、好きなことをたくさん経験させてあげることで、自己肯定感を持ち、自分軸が育ち、自分の強みを理解し、発揮できるようになるのだと思います。

「見守る」

第2の原則は「見守る」です。これを言い換えると「与えすぎない」ということになります。

いわゆる「教育によさそうなもの」を、子どもの将来のために与えすぎること。これは間違えると子どもの育ちを阻害する、ということが書かれています。

例えば、習い事をたくさんさせている場合。子どもが興味を持ち、自分の意志で取り組んでいることは良いのですが、親が教育によさそうだといって行かせている場合は注意が必要です。

お子さんの時間の主導権を、お子さん自身にゆだねることも、心が育つためには大切だと書かれています。時間が「やるべきこと」で埋まっていると「忙しい」状態になります。「忙しい」のは「心が亡くなっている状態」。人間は体験したことを、その後に「ぼーっとしているとき」に体験として自分の中に定着させるようです。つまり、いくら体験を積んでも、その後にそれを自分のものにする「時間」がなければ、定着は難しいと考えられます。

お子様の将来を考えることは、決して悪いことではありません。ただし、将来を不安に思いながら経験や物を与えすぎるのではなく、お子様をを信じて、「今、どのような関わりをすればよいのか」を考えるべきであると思います。

「待つ」

言い換えると「あせらない」となります。

「待てない」「焦ってしまう」という方は「自分が頑張らないと、子どもに失敗させてしまうかもしれない」という不安を持っている場合が多いと推察されます。

そして、この心理の裏側には「子どもは一人では育たない」という子どもに対する不信感があるのではないでしょうか。

「子どもを信じて、待つ」こと。これはできない人には簡単なことではないと思います。

しかし、「自分が子どもを信じていないから待てない」ということを自覚することで、それを克服し、待てるようになるのです。

ちょっとここで、自分が子どものころを振り返って、自分が親に求めていたことを考えてみましょう。

「親にもっと子育てを頑張ってほしい」と思っていたでしょうか。自分のために「頑張ってくれている親」は子どもにとっては「重い」と感じてしまうことの方が多いように思います。

「その子ならではの強み」

3原則+1 の 最後の「期待する」は、今回は省略することにします。

さて、ここまで読んでくださいまして、ありがとうございます。

これからは個性を伸ばす時代。子育てのあり方もやはり時代に応じて変わっていきます。

このことを理解し、目の前にいるありのままのお子様を見守ってあげましょう。

そのお子様は、その子にしかないたった一つの個性をお持ちです。その個性が必ず強みとなり、社会で発揮される日が来ます。

できないこと、不得意なことがあっても大丈夫。すべてのことを上手にできることはかなり難しいことですし、今の社会では目指すべきところではありません。

それぞれのお子様ならではの強みを楽しみながら伸ばしていってくだされば、きっと明るい未来が実現されると思います。

「見守る」子育て

新しい時代に大切な考え方を示してくれる名著だと思い、紹介させていただきました。読み込んでいくとたくさんの発見があると思います。興味を持たれたら是非読んでみてください。1時間程度で読める読みやすい本です。