アンガーマネジメント 2

前回のアンガーマネジメントの続きを書いていきます。

前回は、怒りの正体についてお話ししました。「怒り」とは自分が生み出しているものであることはご理解いただけたと思います。なので、コントロールも可能なんです。

いいえ!コントロールなんてできない! 怒ってしまうんです!!

という方もいらっしゃると思いますが、その思い込みから抜け出さなくてはいけません。

怒りはコントロール可能!

例えば、あるお子さんがスーパーのお菓子売り場でだだをこねて寝転んでしまい、それがあまりにもひどいので、イライラして「いい加減にしなさい!」とお母さんが怒っているという場面に、一度は遭遇したことがあるのではないでしょうか?

このときの親御さんの気持ちもわからなくはありませんが、果たしてこれはコントロールができないことなのでしょうか?

実は、このお母さんは「恥ずかしい。」「どうすればよいのか困っている。」という状態で、その状態を何とかしようと「怒り」によって解決する方法を取っているのかもしれません。

もし、ここに子どもさんの保育園のイケメン保育士が現れたらどうでしょうか?お子さんに対してそれ以上声を荒げて怒ったりはせず、「あら、先生。こんにちは~。」とよそいきの声であいさつしてしまうような方もおられるのではないでしょうか?

このような事例から、怒りによる行動は、実はわりとたやすくコントロールすることができてしまうのではないかという可能性が生じます。

怒りのコントロールの方法

上の事例では、イケメンが出てきたので怒らずに済みましたが、これからは、怒りを自分の力だけでコントロールする方法を3つ紹介します。

1つ目は「6秒の間に採点する」

2つ目は「自分を落ち着かせる言葉を言う」

3つ目は「1次感情を見つめる」

です。

「6秒の間に採点する」

これはよく言われることですが、本能的に「怒り」が生じるのはほんの一瞬ですが、そこから理性的に判断できるようになるまで約6秒かかると言われています。

「6秒待って」とよく言われますが、今回はそこに「採点」を付け加えました。

怒りを0~10点で採点します。0点は心が平穏な状態、10点は「一生忘れられないくらいの激しい怒り」とします。

上の事例では、スーパーでこどもがひどくだだをこねた、ということで怒りを生み出しましたが、これは何点なのでしょうか?

誰かが怪我をしたわけでもなく、お金を取られたわけでもなく、自分をひどく傷つけられたわけでもありませんよね。少し困った、少し恥ずかしい思いをした、くらいでしょうか?

これくらいのことに「9点!」って言ってしまうと逆に恥ずかしいですよね。まぁ、高くて4点。通常は2点くらいではないでしょうか。

実は、この採点をしてみると、意外と3点程度のことが多く、いかに自分が些細なことで怒ってしまっているかがよくわかると思います。

こんなことをしていると、6秒なんてあっという間に経過していて、ある程度冷静になっており、さらに「3点・・・」だったらそんなに怒るのは逆にみじめな感じになり、怒るに怒れなくなってしまうんです。

「自分を落ち着かせる言葉を言う」

思わず怒ってしまう!と思っていることも、採点してみるとだいたい「3点・・・」。しかし、心はまだ不安や恥ずかしいという気持ちに支配されていて、うまく行動がコントロールできない状態、ということはよくあります。

そこで、準備していた「自分を落ち着かせる言葉」を言います。

「怒り」の状態では使える言葉は平常時に比べてかなり少なくなるようです。自分も、実際に怒ったときに「くそっ!」「むかつく!」「うっとうしい!」などの言葉しかつかえなくなるように思います。そこで「自分を落ち着かせる言葉」を言うには事前の準備が必要です。

「大丈夫。なんとかなる。」「たいしたことない。」「まぁ、そういうこともある。」など、自分に合った言葉を準備しておきましょう。

「1次感情を見つめる」

さて、落ち着いたら最後に「1次感情を見つめる」ということをしてください。

上の事例では、「恥ずかしい」「不安」などが1次感情として考えられます。

この、自分の感情を理解することで、「怒る」必要がなくなります。

私が思うに、たいていの怒りの原因は「不安」です。これは私が「不安」を感じやすい性質なだけかもしれませんが、自分のことを振り返ると「不安」で理解できることが多いです。

例えば、待ち合わせに何の連絡もないまま遅れて来た相手に対して「怒り」が出てくることが多かったのですが、その原因となる1次感情は何だったのかと考えると、その相手に対して「自分は大切にされていないかもしれないという不安」「今後も遅れて来られるかもしれないという不安」だったのではないか思います。

この、1次感情を見つめるというのはとても有効で、これを繰り返して怒らないように気を付けて過ごすことで、徐々に「怒りにくく」なります。

さらに、相手の怒りに対する理解もしやすくなります。

相手がなぜ怒っているのかを考える時に、その原因となる1次感情が見つけやすくなるように思います。相手の怒りの原因である「不安」や「虚しさ」に焦点を当てて対処すれば、相手の怒りを鎮めることもできる可能性が高くなるはずです。

まとめ

「アンガーマネジメント」というのは、「怒り」に対する理解を深めて、「怒り」をなくし「怒り」によって損しないようにするスキルです。スキルなので、いきなりうまくなったり、いきなりできるようになったりはしないかもしれません。しかし、スキルを少しずつでも向上させて、穏やかに過ごせるようになれば、メリットが大きいことは理解できると思います。

怒りっぽいと自覚のある方でも、自分を見つめて「怒り」に対する理解を深めれば、「怒り」のない楽しい毎日を過ごせるようになると思います。私も頭が固い方で、怒りっぽい方だったと思います。今でも怒ってしまうこともありますが、修行を重ね、徐々に怒らないようになってきました。「自分の『べき』を押し付けない」「自分の否定的な1次感情を見つめる。」慣れるまでは難しいですが、スポーツと同じように慣れれば必ずうまくなり、いずれ無意識にできるようになっていくと思いますので、皆さんも一緒に頑張りましょう。